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【映画】ドレスデン、運命の日

ドレスデン、運命の日

ローランド・ズゾ・リヒター監督/2006年度作品/ドイツ映画/原題「Dresden」

 ドイツ東国境の街、ドレスデン。その病院で看護師として働くアンナ(フェリシタス・ヴォール)と外科医のアレクサンダー(ベンヤミン・サドラー)は、院長であるアンナの父も認めた恋人同士。一方、ドイツ爆撃に参加した英空軍のロバート(ジョン・ライト)はドイツ空軍に撃墜されパラシュートで脱出、腹を拳銃で撃たれながらも山に逃れる。なんとかドレスデンまでたどり着いたロバートは、混雑に紛れてアンナの病院の地下室に隠れることに成功するが、アンナに見つかって手当てを受ける。

 アレクサンダーはアンナの父から、不正に貯めた医薬品を取引材料に国外脱出すると打ち明けられ、反発するものの従わざるを得ない。アレクサンダーのいらついた態度に、アンナはロバートに接近していく。ロバートから父の不正を知らされたアンナは、ロバートと逃げることを決意するが失敗。国外脱出のために家族と駅で電車を待っているその時、イギリス軍によるドレスデン空襲が始まる……。

 戦後六〇年以上を経て初めて制作されたドイツ空襲の映画。確かにこの映画が制作されたのは「機が熟した」からなのだろうと、見終わってから感じられた。

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 例えば、撃墜されたロバートの同僚が、落下地点のドイツ人たちに虐殺される場面。街中でのユダヤ人排斥。「ざまあみろ、俺の姉は貴様らの空襲で死んだんだ」と叫びながらドレスデンを空爆する英兵。ダンスを踊りながら空爆する側を問うアンナと「始めたのはドイツだ」と言うロバート。これらは「加害」として今まで描かれてきたことの延長線上にある。「軍事目標」ではないドレスデンへの空爆を躊躇する英軍と、連合軍内部の事情でそれを決定する上層部のやりとりも興味深い。

 話題の空襲シーンも確かに迫力ではあるが、むしろ重点がおかれたのは防空壕の中でのエピソード群だろう。ひとつひとつに既視感はあるし(次に何が来るか予想がついちゃう)、やや網羅的ではあるが、空襲後の見渡す限りの瓦礫は「紙と木」の街だった日本の焼け野原との違いを見せつけて圧巻。ユダヤ人のジーモンと彼を最後まで守り抜こうとする妻のマリア、プチ悪役であるアンナの妹、防空壕の中で老人たちに「殺して」とせがまれる若いドイツ兵など、脇役が光る。

 そしてそれらの要素を押し流してくれたのは、本筋だったりするのだが。とにかくヒロインの「正義感ばっかり強いわがままなお嬢様」ぶりが鼻につく。「私は自由だわ……」ってうっとりして言ってみてるけど、そりゃただの「親への反抗」だってば。そこまでの物語に共感できないので、「どうしてそこで都合よく空襲がくるかなー」という気分になってしまったし、ラストのロバートもまったく納得いかん。アレクサンダーの方が百倍いいヤツだよ!

 ……ということはおいといて、戦争被害について語れなかったドイツと、「空襲映画」を量産してきた日本の隔たりを考えるにもよい映画。それにしても欧米って、なんでもロマンスになっちゃうんだなぁ。日本じゃたいがい「家族愛」だもんなぁ。

(初出 「インパクション」158号 2007.7)

【補】アレクサンダー萌え……というよりヒラリオン萌えだった話は当日のブログをどうぞ(笑)。

 なぜ日本の空襲映画がロマンスではなく「家族愛」になっちゃうか、という話をしていたら、「若い男がみんな動員で街にいなくなっちゃったから」という答えをいただきました。うーむ、そういう理由かぁ? 

 空襲シーンについてですが、日本映画だと街全体が燃えちゃうのに比べ、こちらは石とレンガの街なので、建物の所々から火を噴いてる、って絵になるんですね。なるほどなあ、ではあるんだけど。防空壕も日本みたいに「庭先に掘ってある」ってんじゃなくて、地下街みたいなもんです。すごく長くて、いくつもがつながっていて、壁も剥き出しじゃなくてちゃんと内装……とはいわないまでも住居のようになっている。だから3人も「防空壕の中」を逃げ惑うわけですよ。これはちょっとカルチャーショックかも。

 だけど、所詮防空壕だからね。何が起こるかは予測の範囲。最初の壕(まだアンナとアレクサンダーの2人連れ。一度外に出てからロバートと合流)で、暗いのが怖くてロウソクに火をつけるでしょ。そうすると「酸欠、キタ━━! 」と思っちゃうわけですよ(T_T)。それで、壕の中でお産が始まって、アレクサンダーとアンナで赤ちゃんを取り上げる辺りが「生ましめんかな」で(うーむ)。ちっちゃい女の子が怖がって泣くんだけど、このシーンのアレクサンダーがいいんだー(^^)。子どものあやしかた(?)がいかにもやさしくってさー。映画の最初の方で、小さな兄弟の兄の方を助けられなかったアレクサンダーがアンナに当たっちゃって、ぷんぷんなアンナが、弟の方をなだめているロバートを見て乗り換えちゃうってシーンがあるんだけど(←了見の狭い女だなっ)、ここでアンナが「あら、あれは私の誤解だったのかしら」みたいな目でアレックスを見るんだよ。おいおいおいおい! なんてやってるんで、全然空襲シーンに目が行かなかったり(笑)。まあ防空壕の中にいる限り、空襲っぽくはないんだけど。

 ……えーと。秀逸なのは本文にも書いた若いドイツ兵です。老人グループを警護しながら来たのか、ひとりだけ直立不動でいるんだけど、酸欠で苦しむ老人たちに「殺して!」「殺して!」ってせがまれて、最後には耐えきれずに彼らを撃ち殺していく青年。このエピソードがいちばん苦しかったです(でもやっぱり「キタ━━!」って思った)。あとはマリアとジーモン。大人の男と女だよなあ。この二人が空襲の最中に相手を見失ってしまうところなんか「ああああああ、もうばかばかばか、そっちじゃないよおおお!!!」と思わず心で叫んでしまいましたよ。アンナの妹は、ナチの幹部に取り入っていい目を見ようというプチ悪役だけど、いかにもな感じでよかったなー。しかも、途中でアンナたちと別れて脱出したアレクサンダーは、ドレスデンに帰る避難民の群れの中で、知らない女の子を助けたりとかするのよー(T_T)。それもすごく自然でやさしいの。ロバートなんて連合軍の近くまで来たら「じゃっ!」って帰っちゃうんだから。

 ……結局そこかい。

(2007.10)

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