フォト

最近のトラックバック

Amazon Search

無料ブログはココログ

« 【映画】シャーロット・グレイ | トップページ | 【映画】千と千尋の神隠し   »

【映画】パール・ハーバー

パール・ハーバー
マイケル・ベイ監督/2001年作品

リベンジせずにはいられない人々の群

 米陸軍航空隊のレイフ(ベン・アフレック)とダニー(ジョシュ・ハートネット)は兄弟同然に育った幼なじみ。健康診断でレイフは看護婦・イヴリン(ケイト・ベッキンセール)に一目惚れする。強引に口説き落としてまずはハッピーな日々。しかし、レイフが志願していたイギリス空軍への参加が認められ、レイフは一人イギリスへ。ダニーたちの隊もイヴリンたち看護婦も、オアフ島へ移動となる。しかしダニーたちに届いたのは、レイフの戦死の知らせだった。お互いを慰めあっているうちに、いつしかいいムードになっていくダニーとイヴリン。

 ところが! そこへ帰ってきたのが死んだはずだよレイフ君。いやあ、困った。二人で一晩殴り合って、明け方の空に見たものは、空を埋め尽くすかのように飛来する日本軍のゼロ・ファイターなのだ!

 飛んで帰った二人は仲間の援護で果敢に応戦。しかしほとんど為す術もないままに、真珠湾は壊滅状態になるのだった。

 しかあし! ここで映画は終わらない。三人とも無事だったところで、三角関係はどうすんじゃいと思いきや、ダニーとレイフはドゥーリトル隊長の元、極秘任務に入る。なんと東京爆撃作戦じゃあ! レイフとダニーは空襲に成功したものの、中国(?)に不時着。日本兵に襲われてダニーは戦死。今度こそ恋人の死体を確認したイヴリンは、レイフと二人、ダニーの息子を育てるのであった。

 いやあ、長い。3時間である。あらすじだけで二枚近くかかっちゃった。で、感想。

パール・ハーバー 特別版 [DVD]DVDパール・ハーバー 特別版 [DVD]

販売元:ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
発売日:2006/01/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する


 <その一。女の子はみんな、イベント的恋愛を望んでいる。> 

 とにかくウリは「メロドラマ」だったわけだが、中身は「まあ、ありがちよね」てな程度で大したものではない。試写会などで女の子たちが「ステキな恋〜かんどお〜」とか言っているのは割り引かないとならないが、つまり、軍機で「私だけのために」夕焼けを見せてくれるとか、豪華船の吊り板に乗せてくれるとか、きょうび、恋愛にはそうしたイベントが必要だということだ。それを称して「ロマンチック」と言っているわけだ。

 <その二。どうにかしろよ、日本軍。> 

 何で日本軍の作戦会議は全部屋外なんだろうねぇ。何で周りに幟旗が立ってるんだろうねぇ。そんで、何で「皇國」とか「軍極秘」とか書いてあるんだろうねぇ。マコちゃん、せっかく山本五十六役なんだからさ、ちゃんとカントクに教えてあげなって。戦中派なんだから。でも日本人も「ビッチ」なんてTシャツ着てるしね。おかしかったのは、零戦の操縦士が「必勝」と書いた日の丸の鉢巻をしてるんだが、受験生みたいでヘンに感じること。でなきゃ仲見世の外国人観光客用和装雑貨店。これも戦後五十年のなせる技か。

 <その三。イノセントな僕たちは、こうして大人になった、そうだ。>

 これはポピュラーな解釈なのだが、プログラムで引用されている脚本のランダル・ウォレスの言葉通りだ。「戦争には関わりたくないと楽天的に毎日を暮らしていた国民までもが、勝つまでは戦いをやめないという国民に変貌した」というもの。実際、こいつら大丈夫か?という「戦前」のノーテンキな姿が描かれるのだが、でもなんだかこれってちょっと今の日本かも、と思わせてみたり。一国平和主義ってこんなにヤバイのよ、ってな具合。

 <その四。やっぱりアメリカって、リベンジせずに終われないのね。> 

 「トラ!トラ!トラ!」を観たのはずいぶんと前なので忘れてしまったのだが、真珠湾炎上で終わっていたとものの本にある。今回その先があるというのは実際に映画を観るまで気がつかなかった。やられっぱなしで終わるわけないよな、というのは後知恵だが、納得感がある。「無垢な僕らが大人になった」が主題であるならば、むしろ重要なのは「大人になった僕たちの雪辱戦」であるからだ。この過剰な、と言ってよいのか悪いのかわからないが、報復傾向は、今、私たちの眼前で展開してる。

 <その五。パール・ハーバーとカミカゼとテロ>

 今回の「テロ事件」で、本多勝一を含めて何人かの論者が「真珠湾や特攻と比べられるのは不本意」という発言を行った。主として、真珠湾は軍事施設への攻撃であってWTCのような民間施設への攻撃ではない/特攻は一人で突っ込むのでハイジャック機のような道連れがいない、というあたりが論拠のようだ。このことについては、軍人/民間人、軍事施設/民間施設という線引きが果たしてどれほど有効なのかの問い直しを行わねばならない。幹部クラスはさておくとしても、徴兵/徴用された人々は、家に帰ればただの民間人とどれほどの差があるのか。「軍人だから殺してOK」というルールがあればこその戦争だとするならば、戦争の不当性そのものはどうするのか。

 映画の結論はこうであった。「志願したものこそが最も強い」。これはアメリカにとってのベトナム戦争での大きな教訓である。そして「テロ事件」の結果、志願した者たちが続々と軍に入っていると報道されている。それらはやはり「報復せずにはいられない人々の群れ」なのだと、私には見える。

 (「運動<経験>」3号 '01.11)

【補】「今回のテロ事件」というのは、もちろん9・11のこと。「〜人々の群」というのはもちろん(?)大林宣彦の「おかしな二人」のサブタイトル「ものくるほしき人々の群」のぱくり(よく使ってます〜)。で、この「報復」はむしろソマリアに向いていくのでは、とこの時点では思っていたのだが、結果はご存じの通りイラクへ向かっていったのだ。軍人/民間人の線引きについては、「「反テロ」戦争と<民衆の安全保障> 」(派兵チェック刊)に小さい論文を書きました。しっかし、長くてつまんない映画だったなー。この「メロドラマ」のどこがロマンチックなんだろうなー。子犬系ジョシュ・ハートネットは好きだけど。アフレックは「イケメンのシュワルツネッガー」みたいだったな(シュワルツネッガーが顔が悪い、と言ってるわけじゃない)。「アフレック」というとなんとなくアヒルの声が…(ちがうだろ)。

« 【映画】シャーロット・グレイ | トップページ | 【映画】千と千尋の神隠し   »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【映画】パール・ハーバー:

« 【映画】シャーロット・グレイ | トップページ | 【映画】千と千尋の神隠し   »