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【映画】シャーロット・グレイ

シャーロット・グレイ
ジリアン・アームストロング監督/ビスタ・ビジョン/カラー/121分/2001年度作品/フィルムフォー提供/原題「Charlotte Gray」

抵抗するためにできることはきっとある

 一九四三年、イギリス。列車の中で「原書でスタンダール」を読んでいた看護婦のシャーロット(ケイト・ブランシェット)は、その語学力を買われてフランスのレジスタンス運動への協力者としてスカウトされた。恋人のパイロット、ピーター(ルパート・ペンリー=ジョーンズ)がフランス上空で行方不明になったとの知らせをきっかけに、シャーロットは諜報員ドミニクとしてフランスへ入る。そこで待っていたのは共産主義者のオクターブことジュリアン(ビリー・クラダップ)だった。最初の連絡員との接触に失敗したシャーロットはジュリアンの父(マイケル・ガンボン)の家で、ジュリアンが匿う二人の幼いユダヤ人兄弟の世話をしながら活動を続ける。しかし、情報が漏れ、レジスタンスは壊滅。街の有力者である教師がユダヤ人を匿っている父を告発する。父と子どもたちを連行され、絶望的な状況の中で、教師を射殺したジュリアンは、シャーロットに一緒に国外に脱出しよう、と言う。シャーロットは拒否して言う。まだ成すべきことがある、と。

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 ややもすると愛国的でロマンチックに傾きそうな題材を、オーストラリア人の女性監督がクールに、かつ情熱的に撮った。実際、シャーロットにとってイギリスは正義である故に戦争に勝つはずだったし、フランスはかつて留学した地ではあったが、格別に「愛国心」から諜報員になったわけでもない。ピーターがフランスで生きている、という連絡が入ったことは大きな後押しになったが(そして彼を探すために二度も大きな失敗をやらかすのだが)、「命がけの恋」というベタな感じ(例えば「ひまわり」のような)もしない。むしろ自分の能力への自尊心・優越感や好奇心、ロマンチシズムやヒロイズムから諜報員になった女性が、状況に真摯に向き合ったらこうなった、という感じだ。

 クライマックスでのシャーロットはすごい。仲間をすべて殺され、父親を差し出した甲斐もなく幼い兄弟もドイツ軍に捉えられ、「最善は尽くした、生き延びる以外にできることはない」というジュリアンに向かって「最善は尽くした、なんて言わないで! まだできることがきっとあるわ!」なんて言い切っちゃうのだ。それで「あなたはお父さんのために生きなさい」なんて逃がしてやるのだ。すっげえ。実は私は、国外脱出を目前に控えていたシャーロットがジュリアンに脱出をもちかけるかと思っていたのだが。いやはや。それじゃただの恋愛映画だよな。

 実際にシャーロットが「できたこと」は本当に小さいことだったかもしれないけれど、本当に大切なこと、生き抜くための「希望のかけら」だった。だから、警察がドアを叩く中でタイプを打ち続けるシャーロット、それを届けるために警官に銃を突きつけるシャーロットは、全編でいちばん美しい。

 で、「ラストの彼女の決断に驚き」とか宣伝などではなっているわけだが、共感こそすれ驚きはしない。帰ってきたピーターを見たとたんに「あ、だみだこりゃ」って思うもの。「この男は私(と私の体験)を理解できない」。でも、本当は最初に「僕は勇敢じゃないよ」ってピーターが言ったときから結末はわかってたんでしょ、シャーロット?

 プログラムに載っているクライマックスのセリフは「There must be something to set against all this」。これから、かみしめることが多くなりそうなセリフだ。

(インパクション134号 2003.2)

【補】初出掲載後に原作を借りて読んだ。結末が違ってた(笑)。そりゃあ、「ラストの彼女の決断に驚き」だわ。

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