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【映画】ハウルの動く城 

ハウルの動く城 

監督/宮崎駿 2004年作品 スタジオジブリ

 結局見損なったなぁと思ったら、まだ上映していた。宮崎アニメはもしかしたら、岩波映画より上映期間が長いのか? 

 科学と魔法が同居する、架空のヨーロッパ。帽子屋の娘ソフィー(倍賞千恵子)は、軍事パレードに沸く街で兵隊にからまれた所を魔法使いハウル(木村拓哉)に助けられるが、逆にハウルを狙う荒れ地の魔女(美輪明宏)に呪いをかけられて老婆にされてしまう。帽子屋にいられなくなったソフィーは、途中で助けたカカシのカブにハウルの城に案内され、そのまま掃除婦として居着く。ハウルとの契約で城を動かす火の悪魔カルシファー(我修院達也)、ハウルの弟子の少年マルクル(神木隆之介)らと過ごす日々もつかの間、ハウルには戦争に協力するよう、国王から召喚状が来る。王室付き魔法使いサリマン(加藤治子)の手を逃れてやって来たソフィーの街でも、空襲は激しさを増す。城を守ろうとするハウルは魔法に捉えられ、人間の姿を失いかけていた…。

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 一義的には家族創出のメロドラマなのだろうが、宮崎の「欲望」が非常に素直に出た作品ともいえるだろう。「好きなもの」を順番に並べてみたらこんな具合になりました、といった感じだ。ハウルの城は中も外も「好きなもの」でこれでもかというほど埋められている(ほとんど過剰装飾の油屋の「男の子向け」のようだ)。時に母、時に恋人として変幻自在に年齢を変える「守るべき」女性。フライングカヤックによる空中チェイスや腐海の蟲を思わせる飛行戦艦。実際、あの飛行戦艦の、憎々しげを装いつつもなんと楽しそうに描かれていることか。「戦争を否定しながら、一方で戦車や兵器に執着している」(切通理作「宮崎駿の<世界>」ちくま新書。増補改訂版「宮崎駿の雑想ノート」大日本絵画、の序文で宮崎自身が同趣旨の発言をしている)宮崎の、その矛盾を無理なくまとめようとしたらこうなった、というようにも思える。だから、ソフィーがどういう条件で外見年齢が変わるのか、呪いは本当に解けたのか、カブにかけられていた呪いはなんだったのかとか、そんなことはどうでもいいのだ。

 戦争は、理由もわからずにただ行なわれている。王宮からの招請をただ拒み、夜な夜な城を出て空襲の現場に舞うハウルが何をしているのかも、明らかではない。ただ空襲に出かける飛行戦艦に対する彼の憎しみは、宮崎自身の原体験にある空襲と結びついたものだろう。サリマンの手を逃れるため、ハウルはいくつかの偽名を使う。ソフィーが「いくつ名前を持ってるの」とあきれ加減に聞くと、ハウルは「自由に生きるのにいるだけ」と応える。何気ないシーンではあるが、ハウルサイドからこの映画を見るならば、むしろ「紅の豚」の系譜にあるのかもしれない。

 ラストシーン、あまりにもベタな大団円にサリマンは「そろそろこのバカげた戦争を終わらせましょう」と微笑む。終わらせられるんなら、とっとと終わらせとけや。迷惑な善人だな。

(「インパクション」146号 05.4)

【補】「紅の豚」を見直してから補注を書こうと思ったのに、全然そんな暇がない(笑)。というのも、やっぱり「ハウル」をこの系列に置くのは異論がありそうだなーと思うので。でも、「男の欲望がストレートに出てる」という意味では近いと思うのね。男から見た「こういう女がいい!」という願望が、「紅の豚」ではジーナとフィオの二人で分担され、「ハウル」ではソフィーのメタモルフォーゼという恰好で表現されているのでは、と。ソフィーがなぜメタモルフォーゼするのかという考察はいくつか読んだけれど…。あとは「戦争からの降り方」。ハウルは結局降りきれずに対峙することで人でないものに変身してゆき、ポルコは降りきることで豚になるわけだけど。そんなことを考えていたら、つくづく「私ってヒロインに興味がないのかー」と思ってしまったよ。

 カルシファーは傑作。いいなあ、こういうの。マルクルの「待たれよ」も好きだなぁ。だけど、「後輩」のソフィーに対して、背伸びしまくって先輩ヅラするのがよかったのに、陥落が早すぎだ。美輪さまは美輪さまだった(笑)。いいなぁ。フィンの位置がわかりづらいなぁ。ずっとサリマンにネタを送り続けてるのかと思ってたら、単純に寝返ってるし。

 「ハウルの動く城徹底ガイド」(角川書店)所収の藤津亮太論文は結構面白いです。同書の樋口尚文もかな。いくつか論文の斜め読みをしたけど、この2本がよかったような気がする。(05.5)
 

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