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【DVD】くるみ割り人形(キーロフ・バレエ)

くるみ割り人形(キーロフ・バレエ)

マーシャ*ラリッサ・レジュニナ/くるみ割り人形*ヴィクトル・バラノフ
ドロッセルマイヤー*ピョートル・ルサーノフ/フランツ*タチアーナ・グンバ/ねずみの王様*ゲンナージ・ババーニン/雪のワルツ*イリーナ・ジェロンキーナ、エルヴィーラ・タラーソワ
スペイン*エレーナ・シェルツェーニェワ、アーンドレイ・ヤーコフレフ/アラビア*エカテリーナ・カトコーフスカヤ/中国*タチアーナ・ロジノーワ、イーゴリ・ヴェリャーエフ/ロシア*イリーナ・スヴォローワ、タチアーナ・グンバ、ピョートル・ルサーノフ/パ・ド・トロワ*タチアーナ・ミルシェーワ、エレーナ・シュミル、アルツェーム・ピハーチャフ
指揮*ヴィクトル・フェドトフ
イワーノフ・ワイノーネン改訂版 芸術監督*オレグ・ヴィノグラードフ
1993年10月17ー20日、キーロフ劇場収録(ライブ)
PHILIPS DVD

 軽やかな序曲の間に客席がカットバックで映されます。おでかけ用にかわいらしく着飾った子どもたちや軍の幼年学校の制服らしい子どもたちがオペラグラスを取り合ったりして、キーロフ劇場の雰囲気を伝えてくれます。子どもを連れて劇場に行く(というか子どもたちがちゃんとおとなしくマナーを守って観劇する)街なんだな。私としてはフェドートフの軽やかな指揮を映してくれた方が嬉しい。フェドートフがドロッセルマイヤー演ったら似合いそうな気がする(我ながらうーむ)。


 1幕。マーシャの家のクリスマスパーティ。大変な上流階級の集まりではあります。子どももみんな生意気そうだし。ワイノーネン版のキーロフでは、子どもたちも全部大人のダンサーが踊ります。フランツをはじめ男の子たちも大人の女性ダンサー。このフランツの傍若無人ぶりが結構好きだったりする。有名私立校の理事長のバカ息子とかこんな感じですね。レジュニナはもう幕開けからかわいらしさ爆発! ドロッセルマイヤーは「一族からは変わり者と見られてるけど子どもたちには莫大な人気のおっさん」って感じでしょうか。魔術師というよりは「親に手を焼かせたうえ、今だに独身な三男坊」とかそんな感じ。ドロッセルマイヤーの余興で3体のお人形が踊るのも(やっぱりピエロ・バレリーナ・「ムーア人」なのね)好きなところで、特にバレリーナの振りが好き。はじめのアルルカン(ピエロ)人形がいつ運び込まれたのかが、何度観てもわかんないんですよね(笑)。脚の悪い祖父の踊りも好き。

 1幕は2幕ほど有名な曲は少ないですが、くるみ割りを持って踊るマーシャとドロッセルマイヤーの踊りとか、それは美しいフレーズがたくさん入っていて、このパーティのシーンはとても好きです。美しい、誰にも冒すことのできない幼年期の記憶。そんな記憶を持っている人は実際には非常に少ないのでしょうが(そしてそれはかなり「特権的」なものなのでしょうが)、舞台の上でだけはそれをそのままに存在させて欲しいと思ってもみるのです。

 ねずみとの戦いが終わり、バラノフ君、登場! まごうことなき「王子様」ですね、この人は。しかもくるみ割りとかカエルとかに変えられている王子様が似合うような気がする(根拠はないけど。ギャップが大きいからかしら)。雪のシーンで、こんなに紙がばらばら振っててポアントで踊ったら危なくないのかなーと思っていたら、案の定、「テレプシコーラ」(山岸凉子)で転んで靱帯切ってしまう話に。おかげでこのシーンを観るたびにその話を思い出してしまうのだった。

 2幕。見渡す限りのパステルピンクなおとぎの世界。最初観たときは「なんだ?」という感じでしたが、見慣れるとやはりこれも「幸せな夢」の様な気がする。まあ、マーシャの見る夢、だからね。類型化された女の子の夢、ってこういうものかも。

 ここのスペインって、「白鳥」のスペインほど気を引かないなあ。音楽が甘いからかな。それとも中国がインパクトありすぎだからか。ディズニーの「ファンタジア」でもはしょられたとこだし。中国は「キャラダンって体力だ!」ですね、やっぱり。これが葦笛くらい長さのある曲だったらどうするんだろうとか思っちゃいます。その「葦笛」。キーロフではこれはワガノワの生徒が踊る曲なのですが、今はマールイのノーブルダンサー、プハチョフ君とやはりマールイのミリツェワ嬢が踊るお宝映像(笑)です。ちびプハチョフの余裕のない一所懸命な踊りが素晴らしいです(笑)。特に中程のソロの一所懸命さは落涙ものです。そして花のワルツ。女性のピンクのかつらについている触覚のようなものはなんなんだろう? 薔薇の雌しべがモチーフなのかしら。キーロフ(に限らずだけど)の衣装って時々謎だよなぁ。

 いよいよクライマックスの金平糖のグランパ。ここのアダージオは、花のワルツで踊った男性からソリスト級の4人が加わるパ・ド・シスです。ここを6人態勢で踊ることの評価はいろいろあるんですが、私はこの映像は好き。バラノフ君があまりに王子なために、お付きがいても違和感がない、ということもあるのかもしれません。あと4人がやはりうまいために観ていて気持ちがいいのかも。ここはケースによりけりでしょうが、ガラでよく観る振りより好みかな。一列に並んだ4人にマーシャが次々とバックジャンプで飛び込んでいくところなんか、何度見ても「どーするとそうなるんだ」か全然わかんないし。

 「おお神よ、あなたは私に一度の人生しかお与えにならなかった。私に愛をください。できるだけだくさん。私は不幸なのです」。金平糖のグランパのアダージョについて、フェドートフの言葉である(新国立劇場パンフ。「鑑賞者のためのバレエ・ガイド」から孫引き)。王子との恋の成就と別れ、夢から現実への別れ、という「悲劇的」なクライマックスのこのアダージョ。単純なメロディにもかかわらず、音楽を聴くだけでつい、落涙してしまうのよ。

 配役を詳しくは入れてませんが、マーシャのお祖父さんが中国を踊ってたり(達者な人だなー)、お父さんがネズミの王様を踊ったり、ドロッセルマイヤーとフランツがロシアを踊っていたり、なかなか皆さん、忙しい舞台だったようです。もっとも17日-20日の録画なので、1幕と2幕は違う日だったのかもしれない。全体に、マーシャの成長譚というよりは少女期の美しい夢、という作りです。深く考えずに、美しいものを観たいときに。
('04.6)

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