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【DVD】ドン・キホーテ(アメリカン・バレエ・シアター)

ドン・キホーテ(アメリカン・バレエ・シアター)

キトリ*シンシア・ハーヴェイ/バジル*ミハイル・バリシニコフ
ドン・キホーテ*リチャード・シェイファー/サンチョ・パンサ*ブライアン・アダムス/ガマーシュ*ヴィクター・バービー/ロレンツォ*フランク・スミス/エスパーダ*パトリック・ビッセル
メルセデス(ドン・キホーテの夢で)*スーザン・ジャフィ/アムール*シリル・イエーガー
花売り娘*イレイン・クドウ、クリスティーヌ・スピッツァ/メルセデス*ジルマ・ブスティッロ/ドゥルシネア姫*ヴァレリー・マドニア/バジルの友人*ロバート・ラ・フォス、グレゴリー・オズボーン/ウェイター*ジョン・ガードナー

指揮*ポール・コネリー 演奏*アメリカン・バレエ・シアター・オーケストラ
振付*ミハイル・バリシニコフ(プティパ・ゴルスキー版による)
1983年6月NY、メトロポリタン・オペラ・ハウスにて収録(ライブ)
ワーナー(VHS)

 バリシニコフによるドンキのライブビデオ(DVDも出てる)。普通の全幕ものを見慣れていると物足りなくも感じるけれど、それなりの工夫が随所にこらされていて、アメリカンなエンタテインメントとして楽しめる。限られた条件で、最大限に観客を喜ばそうとする、バリシニコフの心意気とセンスのよさを感じる1本。

ミハイル・バリシニコフの「ドン・キホーテ」 [DVD]DVDミハイル・バリシニコフの「ドン・キホーテ」 [DVD]

販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:2006/02/08
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 1幕。プロローグとしてほんのちょっとだけ、ドゥルシネア姫の幻影(これがコワイ!)とドンが出る。バルセロナの町。ハーヴェイの姐御なキトリと、バリシニコフのやんちゃ坊主がそのまま大人になったようなバジルがのっけから炸裂。ガマーシュが最高! この版ではガマーシュはもう一人の主人公と言っていいほどの役割を与えられているし、カメラも律義にそれを追っている。ビッセルは長身を活かしたキメキメ・エスパーダ。

 ロレンツォの店のウエイターの少年が素晴らしい。闘牛士にあこがれるこの少年は、喜びいっぱいで闘牛士たちの後ろで踊ったり、エスパーダの投げた帽子をかぶって闘牛ごっこをしたりしているが、闘牛士たちよりはるかに体のキレもジャンプもよかったりする。エスパーダ、闘牛士何人かクビにしても彼を使ってやれよ(笑)。ウエイターの幼なじみとおぼしき少女もなかなかいい味だ。

 「メルセデス」とキャスト表にあるのは、通常の「大道の踊り子」だと思うのだが、ほとんど出番なしでちょっとかわいそう。「花売り娘」は「キトリの友人」で、こちらはコンビネーションが今一つ。イレイン・クドウ(多分)がいい。踊りそのものはスピッツァの方がうまい気もするが、東洋系の濃い顔立ちと水色の胴着ですごい存在感。彼女がここのシマを締める姐さんなのがよくわかる(笑)。実はエスパーダとこちらの姐さんとは「ほのかな腐れ縁」ではないかと踏んでいるのだが(笑)。あるいはリーダー同士の連帯感か? エスパーダはエスパーダだから(笑)プレイボーイぶってるし自分でもそう思ってるけど、実は案外と純情で、イレイン姉さんをくどけないのー、って話つくってどうする>ぢぶん。イレインの、エスパーダをソロに送り出す時のスカートのふりっぷりが好きだなー。サンチョが若い頃のリンゴ・スターみたいでいい。いわゆる「でぶっちょサンチョ」ではないのだが、動きがコミカルで、普通のサンチョにはない味がある。

 というわけで、細かい役も芝居も楽しいのだが、いかんせんコールドの力不足が目立つ。ゼギティリアはなんと6組。闘牛士も2人ずつ組んでも全然合ってないし体も重い。しかし例えば最後のアダージョの後のロレンツォとサンチョの魚をめぐっての追っかけなど、音の使い方がとてもうまくて、無駄な音がない。まさにハリウッド・ミュージカル的ともいえるが、すごく気持ちがよいのだー。
【ないもの】「大道の踊り子」と闘牛士たちの対決とエスパーダの娘口説き、闘牛士たちのコーダ、サンチョいじめ。

2幕1場。ジプシーの野営地。赤かったキトリの衣装とバジルのタイツが、「夜景」ということで青に(妥当な着替えだ)。二人がジプシーに見つかり、ドンたちがやって来たところで、バジルのソロが入る。ドンにやきもちをやいたバジルがはじめタンブリンを持って激しく踊り、その後ショールを使ったキトリとのPDDに。そのショールを今度はドンが奪って、風車に目を留める。東バのワシリーエフ版では「ジプシーの娘」の踊りになっている曲を短縮、バジルのソロにして、ドンの風車突撃の音楽につなげてある。まあジプシーはなんのためにでてきたやら、今一つわからなかったりするが(笑)、見せ場はバリシニコフなのね。
【ないもの】ジプシーの踊り(ソロ+コールド)、人形芝居。【増えたもの】バジルのソロ。

2場。夢の場。「メルセデス(ドン・キホーテの夢で)」とあるのが、通常でいうところの「森の女王」。しかしここですごいのはイエーガーのアムール。アムールなのに妙に艶っぽい(笑)。子役アムールはなし、ドリアードも人数はいるのだが踊れる人が少ないのか、コールドの部分の振付の割り振りが面白い。アムールが大奮闘だ。たいへんだな、バリシニコフも。ハーヴェイのソロ(ドゥルシネアとキトリが別人だから、ドゥルシネアのソロではないのね)は、腕の使い方が意外と(?)優雅。最後に、冒頭に出たドゥルシネア姫が現れる。
 夢から醒めたドンの元にロレンツォとガマーシュが現れる。このあたりもサンチョの芝居や音の使い方がうまい。
【ないもの】幕間のドンの活躍(キーロフなら人形の姫を助けるところ。マールイなら蜘蛛と戦うところ)。

3場。居酒屋。メルセデスは出ない。最初の入場の音楽では花売り娘たちと、最後にエスパーダが入る。ここのエスパーダの「ちょっと一差し」がかっちょいい。ほんのちょっとしたフレーズなのだけど、ビッセルは手首の返しや足首の使い方がほんとにかっちょいいのだー! ちなみにここの居酒屋の主人はグラマーな美人。

 バジルとキトリが登場。最後の最後でエスパーダがキトリにちょっかい。ここから二人の競い合いで、まずはエスパーダのソロ。音楽がアメリカ風に編曲されているのがナニだが、これも長身のビッセルが跳ぶわ決めるわで、かっちょいいのだー! 続いてバジルのソロ。確か、「キーロフ・クラシック」の「パキータ」で男性バリエーションに使われていた音楽。酔っ払いのバジルが杯を手にして踊るのだけど、出だしの回転しながらのジャンプで場内どよめき。バリシニコフは上半身のがっしりした感じに比べて脚が細いので、もう「錐のよう」というのがぴったりの回転。片足を下ろしてのピルエットもドリルのようで、鋭いし、早いし、もうスゴイの一言なのに愛嬌もたっぷり。いやー、ミーシャはやっぱりスゴイなぁ。

 と、言っている間にガマーシュとロレンツォが登場。ガマーシュは女主人の胸の谷間にヤられてる(笑)。バジルの狂言自殺もよいけど、サンチョ転ばしがまたいいのだなー。「おまえは邪魔だ」というよりも、「通るものは転ばせずにはいられない」みたいな感じで(笑)。脚上げの後のキトリも、死んでいるのかを確かめようとして剣で刺そうとするガマーシュも、それを止めようと大慌てになるみんなも、楽しい、楽しい。後ろのエスパーダとイレイン姉さんのやりとりも楽しい。結婚の約束をとりつけた後、最後に二人とガマーシュが和解するのもよいのよ♪
【ないもの】メルセデス関係全部。余興に入る「オリエンタルダンス」の類い。終曲は短かめ。【増えたもの】入場の時にエスパーダ参加。バジルの「酔っ払い」ソロ。

3幕。1場と同じ、ロレンツォの店の前で結婚式。幕が上がると二人が神父(?)に祝福されている。お招きされた人々の入場。エスパーダはメルセデス(大道の踊り子)とやってくる。3幕はなぜかガマーシュの見せ場が多い。「バジルの友人」という男性2人の役があって、彼らとガマーシュの踊りが入る。ここのガマーシュが最高! 芸達者だなー。GPDDは全体に変則的。バリシニコフは衣装のせいもあるのか、妙にがっしりと見えるが、ヴァリエーションはすごいの一言。キトリのヴァリエーションはやっぱり姐御(笑)。コーダの合間にエスパーダやメルセデスがちょっとずつ踊って、その後のバリシニコフのグランドピルエットがまたすごい早さ! いやー、さすがにミーシャだなー。最後はみんなで踊りまくる中、ドゥルシネア姫の幻影が現われ、ドンがふらふらとついていって終わる。
【ないもの】銀月の騎士との決闘。ファンダンゴ、エスパーダのボレロ、キトリの友人のヴァリエーション、ロレンツォとバジルの和解。【増えたもの】バジルの友人とガマーシュの踊り。

 やっぱりハーヴェイの踊りはちょっと荒いし、音楽がハリウッド調に編曲されている個所もあって、おやおやという気もするが、これはこれですごく楽しいエンタテインメントに仕上がっている。全体に「バリシニコフも苦労が多そうだなー」という感は否めないのだが、芸達者たちの脇の芝居も面白いし、観るたびに新たな発見もある。まったく、「ドンキ」というのは動体視力の限界に挑戦、な演目で、生だったらハーヴェイは見てないかも(笑)。観客の反応がまたダイレクトで、これはちょっとうらやましいところ。

 ミュージカルファンの人をバレエにオルグるのには最高。それでなくても、ストーリーもすっきりわかりやすいし、見どころも(笑いも技も)多いので、バレエ初心者の人にも入りやすいと思う。私的にはミーシャとビッセルでおつりが来るなー♪ 
(06.5)

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