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【映画】エディット・ピアフ 愛の讃歌

エディット・ピアフ 愛の讃歌

オリビヴィエ・ダァン監督/2007年作品/原題「LA VieIE EN ROSE」

 伝説の歌姫——というよりはシャンソンの女王、という方が自分のイメージにあうのだが——エディット・ピアフの生涯を描いた映画。ドキュメンタリーではないが、ほとんどの歌はピアフ自身の録音を使っているそうだ。

 第1次世界大戦中のパリ。ごみごみとした路地にしゃがみ込む、薄汚れた女の子。それがエディット。母は路上で歌を歌って稼いでいる。その母に置き去りにされたエディットを、父が迎えに来る。父はエディットを、娼館を経営する自分の母(つまりエディットの祖母)の元に預ける(確か戦争にいくんじゃなかったかな)。娼婦のひとりティティーヌ(エマニュエル・セニエ)をはじめ、みんなから可愛がられるエディットは子どもらしい明るさを取り戻すが、角膜炎から失明してしまう。しかし、ティティーヌたちに連れられて聖テレーズにお参りした後、視力が回復し、エディットは聖テレーズを自分の守護神だと思う。戻ってきた大道芸人の父に連れられて、エディットはサーカスへ。そこも父のケンカで離れた後、芸がウケない父にうながされ、エディットは「ラ・マルセイエーズ」を歌う。

 1935年。20歳になったエディット(マリオン・コティヤール)は、親友モモーヌ(シルヴィ・テステュー)を連れてパリの路地で歌を歌って日銭を稼いでいた。ある日、名門クラブのオーナー、ルイ・ルブレが彼女の歌を聴いてオーディションを行う。そして「ラ・モーム・ピアフ」(小雀)の芸名で彼女を売り出す。成功もつかの間、ルイが他殺体で発見され、エディットは容疑者の一人に。モモーヌとも引き離されたエディットは、作曲家レイモンの特訓で「歌」を学び、コンサートを成功させる。飛ぶ鳥を落とす勢いのエディット。そしてアメリカ公演で、フランス人ボクサーのマルセル(ジャン=ピエール・マルタンス)と恋に落ちる。しかし、エディットに会いに向かう途中のマルセルが乗った飛行機が墜落する……。

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 映画はマルセルの死後、恋を繰り返しながらも麻薬に溺れ、病院と舞台とを行ったり来たりするエディットを、その死の前日までの姿をランダムにカットバックで折り込んでいく。

 えーと。そんなわけで、このカットバックが時間軸に沿ってないので、ちょっとわかりづらかったです。なにせ本国においては、日本でいうところの「美空ひばり物語」とでもいうようなものだから、「ああこれは有名なエピソードなんだろうなー、説明するのも野暮なくらいなんだろうなー」と思っても、イマイチわかんなかったりするんだよな(^^)。こっちの知識も「知ってるつもり!?」レベルだからねぇ。例えばルブレに見いだされる前に、マルセルという名の女の子を出産して、2歳でその子を亡くしてしまうエピソードが最後の方に出てくるのだけど、私はその話を知らなかったもんで、しかも名前がマルセルと同じなもんで、ちょっと頭が混乱したりしたんだな。晩年の周囲の男性の関係もよくわからない。

 とにかく、5歳児のエディット(マノン・シュヴァリエ)もいいんだけど、10歳までをやったポリーヌ・ビュルレがとってもいい。かわいさと意志の強さが拮抗していて。土砂降りの中をお店の軒先で雨宿りをしていて、ウィンドウのお人形をじっとみつめるシーンが本当にいいの。サーカスの火吹き男の練習中にテレーズの声を聞くシーンもよかったなぁ。それからマルセルのマルタンスがすっごくいい男です(^^)。顔もいいけど、ボクサー役だけあって、肉体もいい(笑)。元々はミュージシャンらしいが。

 この映画を見る限り、エディットという人は絶対友達になりたくないタイプだな。とにかくエキセントリック。けれどそれはそれとして、すごく悲しいんですよ。「人生って悲しいよなあ」という気分になる。それは「こういう風にしか生きられない」ということが切々と伝わってくるからなんですね。人それぞれにいろんな生き方をしているけれど、この人はこういう風にしか生きられない。ひとりひとりがみんなそうなんです。多分。美輪サマの「紫の履歴書」を読んだ時にも同じように「人生って悲しいよなあ」と思ったのととても似ています。自分もそうですね。今生きている、そういう風にしか生きられない。どんなに後悔していなかろうと、どんなに幸せな時があろうと、あるいは振り返って「幸せだった」と思おうとも、人生の中には限りない悲しみがある。そういうことをもう一度、伝えてくれます。

 そしてもう一つ、人は誰かを愛さずにはいられない、ということ。それは映画のはじめの方、娼館での生活の中で強く感じる。娼婦たちがエディットに、どれだけの愛を注いだか。中でもティティーヌは度外れてエディットを愛したけれども、それは「エディットが愛された」というよりも、行き場のない彼女たちの愛情の受け皿としてエディットがあった、というように思える。エディット自身もそう。溢れんばかりの愛情を受け止めてくれる先を求めて、彼女はさまよっていたのではないか。マルセルが生きていればまた、違う人生だったかもしれない。自分のわがままで呼びつけたばかりに死んでしまったマルセル。行き場のなくなったエディットの愛情の行き先は、一人にとどめることはできなかった。
 
 子ども時代を含め、印象的なシーンはいくつもあるが、マルセルの訃報を受け取ったエディットが、混乱を極めながらもステージに導かれていく場面は非常に映画的で、かつ効果的。あとは晩年に海岸で雑誌の取材を受ける場面だな。この雑誌の取材っていうのもよくわからないんだけど、多分本国では有名なインタビューなんだろう。

 エディットが死んだのは47歳なんだよね。どうみても70過ぎてるように見える。それだけ肉体がぼろぼろだったということなんだけど。でもこの映画を見ると、いかに「姿勢よく」っていうのが大事かってのもよくわかる(^^)。肩が落ちて、首が前に出るだけで、あれだけ感じ悪く見えるんだなぁ。
(2007.10) 公式ブログ

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