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【TV】ロミオとジュリエット(リトアニア国立バレエ団)

ロミオとジュリエット ワシリーエフ版(リトアニア国立バレエ団)

ジュリエット*エグレ・スポカイテ/ロメオ*イーゴリ・エブラ
マキューシオ*ワレリー・ファジェーエフ/ベンヴォーリオ*ライムンダス・マスカリウナス
ティボルト*アレクサンドル・モロドフ/キャピュレット夫人*エレーナ・グリシヴィナ/キャピュレット公*ヴォルデマラス・クレビンカス/パリス*ミンダウガス・パウズィス/乳母*ヨラーテ・ソディーナ 
振付*ウラジーミル・ワシーリエフ
指揮*ムスティラフ・ロストロポーヴィチ/演奏*新日本フィルハーモニー管弦楽団
2001年4月17日、東京文化会館収録(NHK芸術劇場放映ハイライト)

 DVD化による省スペース作戦の一貫で、ずいぶん前に録ったリトアニア国立バレエ団の「ロミオとジュリエット」(NHK芸術劇場・90分弱のハイライト版)をダビングしながら観ました。例の、舞台を二段にして、真ん中にオーケストラがいる版です。私としては、宮本亜門や林真理子の能書きを延々と聞くよりも、1曲でも多く放映に乗っけてほしかったです。それからナレーター、うるさすぎ(怒)。

 やっぱプロコフィエフはすごいなー。ジュリエットのテーマなんか聞くだけで涙腺がゆるんでしまいます。この版の依頼主でもある指揮者は「バレエが音楽を殺した」と言っているわけですが、ここのダンサーは着地がすごいわ(笑)。ロミオもマキューシオもばんばん落ちてて、確かに音楽を殺しかねないわ(苦笑)。オケが舞台にのってるから、一緒に音を拾ってるのかも知れないけど。

 舞台中継と言っても、ハイライトだし、当然主要人物にカメラがあっていて、折角二段にした舞台のもう片方で何が踊られているか全然わからないので、このビデオで評価はしづらいです。ただ、こうなると映像での評価は無理だということであるし、舞台で観てるとさぞ目が疲れるだろう(常に2カ所でちがうことが行なわれるわけだから)という気はします。二段舞台での効果というのももちろんあって、二人の手の届かないもどかしさとか面白い部分もありますが、正面から観ないとそれも半減だろうなぁ。オーケストラが真ん中にいる分、セットはそっけないし。折角オケがルネサンスな衣装なんだから、指揮者もそれっぽいと面白いのに。あ、そうするとロレンスに見えるからなのか。大公の格好で振るわけにもいかんし。ただオケの前でのパ・ド・ドゥはやっぱり、「子どものためのコンサート」みたいな感じがどうしてもしますね。群舞と主要人物が離れているおかげで、映像で観ると「コールド連れてこなかったの?」みたいに見えるし。

 このジュリエットはラテン系の健康的な元気ハツラツゥなジュリエットですが、それはそれでアリかな、と(桜庭鯛子のジュリエットってこんな?)。そもそもジュリエットはイタリア人だし。どちらかというと「ウェストサイド」のマリアみたいな感じ。ロミオはロミオっぽい容姿で、寝室のパ・ド・ドゥで上半身裸なのもグッドです。総じてロミオは3幕の方がのってきてる、って感じでいいです。うん、結構好きかも。マキューシオがいかにもやんちゃ坊主。ここのティボルトはロットバルトが似合いそうだなー。脚がすごくシャープで、回転なんかはロミオよりうまいんじゃないかな。「カルメン組曲」の隊長さんとかも似合いそうだ。マクミラン版だと2幕の結婚式の行列にあたるところで、下段で街の人の群舞、上段でティボルトのソロが入って、ハイライト版だからちょっとだけだったけど、全曲観たかったです。街の人たちに囲まれて華々しいマキューシオと、それを憎んでしまうティボルト、というのは出てたと思います。それと例のティボルトの死とキャピュレット夫人の嘆き、ですわな。ママがポアントで踊るのって珍しいんでないでしょうか。この版では、パパもそれなりに嘆いていて一応バランスをとってますが(笑)、ママはかなり怖いです。してみるとティボルトはキャピュレットにとっては外戚だったのか? いや、どうでもいいですが。余談ついでに、どの版でもというかラブロフスキー版になるんでしょうが、あと10年もしたらマハリナにぜひママを演ってほしいというのが、私の密かな野望です(笑)。それはともかく、ここんちの両親はよく踊りますが、その分パパが貫禄不足。パリスは陰が薄い分同情できるというか、陰が薄いことに同情できるというか。白タイツと黒の衣装は上下黒のティボルトと上下白のロミオの間に位置づけられているということでしょうか。個性は感じられないけど、いい人だな、多分。ロミオのことさえなきゃ、この人と一緒になってもそれなりに幸せだったでしょうねぇ。

 この版のラストのすごさは、一瞬だけど、ロミオとジュリエットが生きて再会することにあると思います。ロミオが薬を飲んでから死ぬまでの間に、ジュリエットが蘇生する。ロミオはジュリエットが生きていた喜びの一方、自分が冒した間違いに気付いた絶望の中で死んでいくわけです。それはすさまじい絶望だと思うのです。ジュリエットは寝室のパ・ド・ドゥの振りをくり返すけれども、ロミオにはそれに応える力は残っていない。あの時自分を抱いた腕はもはや力無く、彼は起きあがることすらできずに苦しげに見つめるだけなのです。自分の腕の中でロミオが息絶えていくのをみとったジュリエットは、一瞬も遅れまいとためらうことなく死を選ぶ。毒薬を前にひるんだあの余裕はもうない、ジュリエットの絶望もまた。その後のいわゆる「ラスト」については、まあいいんじゃないのぉという感じなのですが(つまり特に支持はしないけど)、指揮者としてのモラルとしてはどうかと思うかな(最後の音までちゃんと拾えよ、という点で)。やっぱ、指揮者がロレンスを演ればよかったのかな。ラヴロフスキー版が社会への告発を含んでいたとするなら、より個人的な悲劇であったような気がします。最後の上段の群衆が映されていなかったからかもしれませんが。

 結局、ベンヴォーリオの早とちりがいけない、ってのが結論か?
('04.7)

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