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【バレエ】マニュエル・ルグリの新しき世界 Aプロ

2011.7.16 <マニュエル・ルグリの新しき世界II>Aプロ ゆうぽうとホール

 Aプロ最終日。久しぶりにクラシック入りのガラを見たような気がします。今年はマールイの冬のガラに行かなかったんだか、なかったんだかで、ちょっと調べてみたらこの手のガラはちょうど1年前のスタダンのチャリティ以来でしたよ。びっくり。ベジャールだとかコンテのガラには行ってたんだけどねえ。席は1階後方、やや下手より。コールド入りの「ラシル」を見るにはちょうどよかったけど、「マノン」や「オネーギン」はもう少し近くで見た方が乗れたのかな。ただ、基本的にいわゆる「フランス派」(というか「オペラ座派」?)のクラシックとはソリが合わないんだよなあ、とも。これは昔っからだからしょうがないやね。


「ホワイト・シャドウ」 振付:パトリック・ド・バナ 音楽:アルマン・アマー

マニュエル・ルグリ、パトリック・ド・バナ
吉岡美佳、上野水香、西村真由美
松下裕次、氷室友、小笠原亮、宮本祐宜、岡崎隼也 
高木綾、奈良春夏、川島麻実子
梅澤紘貴、谷口真幸、井上良太、杉山優一、中村祐司
吉川留衣、矢島まい、渡辺理恵、河合眞里、河谷まりあ

 初演の時の勢いが今一つ感じられなかったのは、席が遠かったせいかもしれない。でも「初演」ってそういうものでもあるんだよな。落ち着いて、整理されて、作品としてはまとまってきても、あの「熱」は一度きりのもの、という気はしなくもない。
 前の方の席で見た時は、もう美佳さん一人に目が奪われて、ほかの何もほとんど目に入らなかったけど、今度はもう少し全体を見る余裕もあり。それでも「美佳さん独りがこの世にあって、触れることができない「何か」を見続けている」ような、全体の印象は変わらない。構成もテイストも違うけれど、どこか「ダンス・イン・ザ・ミラー」の女性版を見ているようでもあった。鏡を通して旅をした「男」は希望に溢れて現世に戻ってきたけど、バナの世界はもっと救いがないような気もする。たとえば最終戦争後の世界のような。時々ふっとベジャールの言語が混ざってくるのに( ̄ー ̄)ニヤリとしたり。
 5人の男性、3人の女性は前よりもぐっといいような気がする。特に松下さんは、本人の踊りも、舞台の牽引力も格段にいい。水香ちゃんは、前回はもっと無機質で、それがバナの世界によく合っていたと思うのだけど、最近増してきた内側の柔らかさみたいなものが、逆に中途半端に見えていたかも。


「海賊」 振付:マリウス・プティパ 音楽:リッカルド・ドリゴ
リュドミラ・コノヴァロワ、デニス・チェリェヴィチコ

 ものすごく久しぶりに「海賊」を見た気がする(笑)。夏といえばシヴァコフのアリ、という時期もあったのにねえ……と、思わず目が遠くなったり。
 コノヴァロワとチェリェヴィチコは共にウィーンのダンサー。チェリェヴィチコはピサレフのスクールの出身だそうで、納得感があるな。大技的なテクニックはあるけど、それがなんとなく外見と合ってない(^▽^)。まあガラだからいっかー。コノヴァロワはラベンダー系の二色づかいのチュチュ。ヴァリはガムザッティの方。メドゥーラよりもガムザが似合いそうだな。こちらも回転ギュルギュルで、まあガラだからいっかー。


「マノン」より 第1幕のパ・ド・ドゥ 振付:ケネス・マクミラン 音楽:ジュール・マスネ
バルボラ・コホウトコヴァ、フリーデマン・フォーゲル

 幕が開いた瞬間に「フォーゲルの前髪、変?」と思ってしまいましたが、いやいやフォーゲルはフォーゲルでしたよ。いいなあ。舞台に彼がいるだけで、心がなごむ。こんな無邪気な子が、あんなんなってこんなんなって、最後はそんなんなんだなあ……と、先々を思って諸行無常な気持ちになったり。全幕でみたいもんですねぇ。娼館でいたぶられるところが見たい(こらこら)。彼のムーブメントは柔らかくて好きだな。
 コホウトコヴァは何かで見てるはずなのに思い出せない。そして今もあまり思い出せない。カテコでフォーゲルと並ぶとあねさんっぽいのに、踊ってる時はそういう印象じゃないのがちょっと不思議。男を悪気なく振り回す、という、マノンらしさはあったような気がするなあ。「男と女」の始まりの楽しいばっかりのところ、そしてそれは今だから、という「寝室」のPDDらしさも二人からは十二分に伝わってきたのであった。それを「恋」とか「愛」とかいうには微妙なんだよな、というニュアンスも。


「アレポ」 振付:モーリス・ベジャール 音楽:ユーグ・ル・バル
ミハイル・ソスノフスキー

 ああ、ベジャールだなあ。ソスノフスキーはいいダンサーだし、身体もよく動くいてたし、色悪的な魅力もあるし、何よりベジャールだった。もう少しスタイルがいいといいなあ……。


「ラ・シルフィード」第2幕 より 振付:ピエール・ラコット(タリオーニ版に基づく) 音楽:ジャン=マドレーヌ・シュナイツホーファー
ニーナ・ポラコワ、木本全優 東京バレエ団

 久しぶりのラコット版。短い抜粋だけど、ここの音楽が好きなのでウレシイ。三人のシルフは乾さん、吉川さん、田中さん。あまり出番はなかったけど、乾さんがすんごく可愛くて、乾さんで全幕を見たいよ! コールドはタリオーニ系の立ちポーズ(腕を下に円形に開く方)がきれいに決まっていて、クラシカルというより古風な(今みるとちょっと野暮ったい)ラシルの空気が出てました。木漏れ日のようなぽわんとした温かい空気。最近、白なら白で、作品ごとのコールドの「意味」みたいなものが割りと明確に感じられるようになったと思うんですよね。
 木本さんは、若いなー(笑)。空間に身体以上の大きさが感じられて、これから大物になっていくかもしれない、という予感がある踊りでした。先が楽しみやね。ポラコワは、自然体のシルフ。するっと作品の中に入っているような。


「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ" 振付:マリウス・プティパ/ルドルフ・ヌレエフ 音楽:P.I. チャイコフスキー
リュドミラ・コノヴァロワ、ドミトリー・グダノフ、ミハイル・ソスノフスキー

 ヌレエフ版なのでロットバルト付き。というか、本来どの版でもアダージョはロットバルト付きなんだけどね。そのロットバルトが、薄いマントをなびかせて走り出てきて、上手の位置につくかつかないかのところで、頭っからマントをかぶっちゃって抜くのに苦労。もう少し上背のある人用なんだろうなあ。二人の後ろを歩く時に、両脇に「がしっ」と抱えてる時が何度かあったりして、ちょっと苦労人であった。ソロはいいねー♪ しばらく前に、コーダ前にあの曲が入るバージョンを見たのに思い出せない。タッチキンでないとしたら松山?
 グダーノフは正しい王子。ちょっともったり感が増量してたようだけど、元々が超絶技巧派でもシャープなキレキレ派でもなく、「正しい王子」がウリの人なので、そこは堪能。オディールにちょっと拒絶されては傷つき(←正しい)、ロットバルトに入れ知恵されては素直にうなずき(←正しい)、あくまでも自分の愛情でなんとかしようという(←正しい)、控えめで礼儀正しい王子でありましたよ。やっぱ、そこで「受けて立つ!」とかしないよね、普通……( ̄▽ ̄)イイケド。
 オディールは、ポリーナの系統に近いかな。ちょっと猛禽系。ダブルを入れた32回転がほとんど移動なしでした。足の強い人だなー。 


「ファンシー・グッズ」 振付:マルコ・ゲッケ 音楽:サラ・ヴォーン
フリーデマン・フォーゲル 東京バレエ団

 ジャズに乗せたソロ。東バは誰が出るんだろうと思っていたら、途中でショッキングピンクの羽根扇をもった黒衣が5人ほど「わらわらわらわら」としていただけで、結局誰が出たのかはさっぱり(笑)。妙に愉しそうだったけどな。
 「モペイ」とテイスト的には似て、今のフォーゲルの能力を気持ち良く引き出してる。フォーゲルがまた愉しそうだし。「モペイ」は踊り手の「一人遊び」だけど、これはフォーゲル自身がファンシー・グッズになっちゃってるんだな。ところどころ「ファンシー・グッズ」にもなってたりして(あら意味深)。


「オネーギン」より 第3幕のパ・ド・ドゥ 振付:ジョン・クランコ 音楽:P.I. チャイコフスキー
マリア・アイシュヴァルト、マニュエル・ルグリ

 昨年の秋のにK村さんのアルブレヒトを見た辺りで、実はあれだけ聴き込んだ「オネーギン」の音楽を封印してました。特に何か自覚的にということでもなく、もっと直観的に「聴いてはいけない」ような気がして。なので、かなり久しぶりに「オネーギン」に戻ってきた、という気もします。

 アイシュヴァルトのタチアナは前回のシュツットガルト来日公演で見ていて(この時はキャスト変わりで2回)、ルグリはこのPDDだけはガラで何度か見ていて、でも正直なところ、その段階ではどうしても「好き」にはなれなかった作品でもあります。もう一度このPDDを抜きで見て、クランコ財団が「全幕を踊ったことのないものに抜きで踊らせない」と言った理由があらためてわかったように思いました。それはダンサーだけでなく、観客もまたそうであろうという意味において。
 全幕で見たアイシュヴァルトのタチアナはとても好きで、「オネーギン」はタイトルロールだけど実際は「タチアナ」なんだな、と思ったものですが、今回もそれに近かったかな。ルグリのオネーギンは洗練されていて、非の打ち所がない。そこにあるのは完成された「オネーギン」という「バレエ」の世界であって、……。

 だとしたら、あの晩のアレはなんだったんだろう、と、やはりそこへ帰らざるを得なくなる。それはマナー違反だよな、と思いながらも、もしかしたら「バレエ」ですらなくなっていたあの晩の答えを探そうとする。そして、答えを出したくないために、自分はあの音楽を封印していたのだな、と、今さらながらに気づいたりもしてみるのです。

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