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【映画】ゴーストライター

ゴーストライター

ポランスキー監督/仏・独・英/原題 The Ghostwriter

 「元英国首相アダム・ラングの自叙伝」のゴーストライター(ユアン・マクレガー)。破格の契約金で雇われた彼は、ラング(ピアース・ブロスナン)のいるアメリカの小島に赴く。厳重に警備されたラングの別邸で待っていたのは、ラングの秘書アメリア(キム・キャトラル)と夫人のルース(オリビア・ウィリアムズ)。首相補佐官だったマカラが書いたという自叙伝の第一稿のひどさに頭を抱えながら、ラングのインタビューを開始するゴーストライターだったが、元外相のライカート(ロバート・パフ)が、「テロとの戦い」での捕虜をCIAに引き渡し拷問した容疑について、ラングの調査をICCに依頼したというニュースが入る。プラカードを掲げたデモ隊が邸宅の前に溢れ、ホテルから通うわけにいかなくなったゴーストライターは、かつてマカラが使っていた部屋に滞在することになる。しかし彼がその部屋でみつけたのは、マカラが隠しておいたラングの資料だった。それらを調べるうちに、ゴーストライターは「泥酔してフェリーから落ちて溺死」と伝えられていたマカラの死に疑問を抱くようになる……。

 上質のサスペンス・エンタテインメント。マカラの死を描く冒頭からぐいぐいと引き込まれていく。原作が発売された当初、ブレア元首相がモデルではないかと噂されたというラング元首相は、ブロスナンのスター性もあって、イメージ的にはブッシュやレーガン、シュワルツネッガーに近いような気もする。カリスマ的な魅力もありつつ、どこか子どもじみたところもあり、軍需産業に支えられているマッチョな権力者だ。ブロンドで見るからにやり手のアメリアと、いかにも古女房的でどこか取り残されたようなルース、二人の女性もそれぞれに曲者。端役の老人にいたるまで、それこそ「役者揃い」だ。

 しかし、物語を導いていくのは、もうひとりのゴーストライター、冒頭で死んだマカラの、いわばゴーストである。マカラの影は主人公につきまとい、人々は敵も味方も、第一稿の「冒頭部分」に隠された謎を解こうと躍起になる。顔の見えない車とのカーチェイス、用意された情事、低くたれこめた雲と強く吹きつける風が気持ちまで暗くさせるような小島。謎が解き明かされた後に振り返れば、伏線とはいえないほど自然にちりばめられた数々のふるまい。王道だなー。

 そして主人公のゴーストライターは所詮ゴーストライター。探偵でもスパイでもカツドウカでもない彼の素人くささあってのサスペンスであるともいえるかも。どことなく頼りないマクレガーのチャーミングさはそのまま詰めの甘さを体現していて、ハラハラ度をいや増してくれる。タイトルの「ゴーストライター」は、名前のない主人公と、彼を支配するマカラという影、二人のゴーストというわけか。

 ともあれ、権力をなめちゃいけません。特にCIAと女はなめちゃいけませんよ。ねえ。

(初出 「インパクション」182号 2011.11)

 ★面白い映画の評はつまらない、という典型例。ちょっと「レベッカ」を思い出させるようなサスペンスなんだけど、もう「レベッカ」をよく覚えてないし。ブロスナンの首相は、日本で言うと丹波哲郎みたいだな、と思ったり。「カツドウカ」は「ナイロビの蜂」へのイヤミです( ̄▽ ̄)。つか、あれは「カツドウカの亭主たる外交官」か。ま、最後の「お手紙回し」の宛先を思いっきりまちがえる辺り、マクレガーの詰めの甘さの面目躍如というか。そんなマクレガーが大好きだったりしますけどね。

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