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【舞台】美輪版椿姫

2012.4.30 美輪明宏版「椿姫」 ル・テアトル銀座
 
原作 デュマ・フィス
脚本・演出・美術・衣裳・主演 美輪明宏

マルグリット:美輪明宏 アルマン:木村彰吾
ガストン:山本太郎 デュヴァル:勝部演之 ジレ伯爵:野仲イサオ
ヴァルヴィル男爵:田中要次 医師:江上真悟
プリュダンス:白川和子 オランプ:夏樹陽子
イヴォンヌ:城月美穂 ナニーヌ:高森ゆり子

 考えてみたら「椿姫」って、小学生の頃に原作(の子供用翻案)を「少女小説全集」かなんかで読んだっきりで、途中からセルジュのパパとママの話(笑)になんとなく頭の中ですり替わってたりして、結局オペラもバレエも全幕はみてないよなあ、と(HDの中にはあるんだが)。

 席はいつものA席最前列(後ろから3列目くらい)のセンターブロック。美輪サマを見る時はここくらいがちょうどいいのだ( ̄▽ ̄)。4月の前半に来たかったんだけど、前売りからしばらく経ったら、もうここらの席が残ってるのはここよりも後ろの日程だけだったのさよー。

 さて。構成は、オランプの夜会/マルグリットの家、休憩、田舎の別荘/オランプの夜会、休憩、マルグリットの家、の1幕5場。

 のっけから、オランプの夜会の背景の孔雀がキレイだったなあ。バック(ホリゾント?)の照明次第でシルエットになったり、部分的に点いたり。いかにも「虚飾」のシンボルなんだけど。
 夜会の女性たちは全員「娼婦」で、それに群がる男たちも含めて、「お上品」とはいいがたい「不健康」さとどこか投げ遣りな雰囲気。そこへ現れるのがガストンとアルマン。

 ガストンの山本太郎は前半のちょっとお調子者な、トリックスター的な軽妙さ、2幕での友人想いのふるまい、3幕のマルグリットへの思いやり(と、うっかりさん)と、幕ごとに重心を変えながら、ガストン自身が大人になっていく過程も見せていて、なかなかのはまり役。テレビでしか見てなかったけど、舞台でも達者だなあ。

 プリュダンスは白川和子で、マルグリットと(実)年齢が相応という(笑)。憎めないやり手ババアの役どころだけど、「アタシは世間の代表」というのがぴったり。ある意味敵役のオランプの夏樹陽子も美しかったけど、美輪組の楽しみといえば城月さんだなー♪ 今回は出番は少なかったけど、アル中役とはいえ、ドレス捌きの美しさはやっぱりいちばん。元タカラジェンヌは伊達じゃないよなー。

 木村彰吾をみるのは2回目かな? 前回の近代能楽集でも、裕次郎的な御曹司と詩人、青年華族となかなかの演じ分けでしたが、今回はもう「大きなワンコ」っぷりが素晴らしい( ̄▽ ̄)。前半の、純情な若造っていうか、有頂天なバカっていうか、あまりのこっぱずかしさに涙流して笑ってたら、隣のおねーさんににらまれちゃったよぅ。だって「僕は君のイヌになる」って、「出てきた瞬間からワンコじゃーん( ̄▽ ̄)」なんてツッこむ以外にどうしろと。後半のイラチやいきなりのキレっぷりも若さ故の狭量さが激烈でよかったなあ。マルグリットに靴に接吻しろと言った後のじりじりするような後悔とか。
 しかし、よく身体が動いてますよ。舞台の端から端まで。声もいいんですよね。よく通って、最後まで声量が落ちない(マイク使わないから、3幕ではずいぶん落ちてる人がいたもんなあ)。しかも183cm、股下90cmのすらりとしたプロポーション。顔だけが好みじゃないんだよなあ。でもA席なら無問題( ̄ー ̄)ニヤリ。

 美輪サマもいつみても美輪サマですが、A席からですと横幅以外は美女に見えるというこの不思議(←何気に失礼だな)。理詰めで考えるとその体型からはあり得ないであろうラインが描き出されるという。演技力というよりも、身に付いた仕草とか、そういうたぐいなんだろうなあ。演出もせりふも「古い」「くどい」と感じるところもありますが、その「古さ」をするりと滑らかに自然に回せてしまえる人はもはや貴重だからなあ(その点、山本くんは今回善戦でしたよー。正直、感心した)。最初の夜会の場面でも、入ってきた瞬間に空気が変わるというよりも、最初のせりふの瞬間に変わるんですよね。ああ、格違いの人が来たんだ、と。

 演出面で印象的だったのは、マルグリットを人々がどのように扱うか、に重点がおかれていたこと。特にアルマンのパパがマルグリットに「別れろ」と言いに来る場面です。パパがマルグリットを「娼婦」として扱っている間は、決してマルグリットは首肯しない。マルグリットがアルマンの財産目当てではなく、むしろアルマンとの生活のためにすべてを売り払ったことを知り、二人が真に愛し合っているのを理解したうえで、なおアルマンとその妹(の縁談)のためにと頭を下げるパパの姿に、マルグリットは別れを承諾するわけです。マルグリットの要求はただひとつ。「家族の愛を知らない自分のために、父親として接吻してほしい」と。
 なんというか、すごく「美輪サマらしいなー」と思いましたです。「人間を人間として扱え」という。パパがちょっと物分かりが早すぎ、という気はしましたが、そりゃしょうがないな。

 そこはガストンも同様で。2幕の最後、男爵と決闘騒ぎを起こして海外に行方をくらましたアルマンに、「やっぱ俺がまちがってた」とマルグリットに謝り、親身に看病するのはガストンなんですね。そして、彼にことのいきさつを知らされたパパは、マルグリットが最後まで約束を守ろうとしたことに感謝して二人の仲を赦し(妹も結婚したことだし)、パパに呼び戻されたアルマンの腕の中でマルグリットは死ぬことができた、と。

 それはいささか都合のよい「ハッピーエンド」にも見えますが、結局のところ、人との関係における誠実さ……友人であれ親子であれ恋人であれ……が人を救うという、ひとつのテーゼでもあるわけです。まあほら、美輪サマだし。

 冒頭のクジャクだけでなく、マルグリットの部屋の内装もよかったですねー。意外に硬質にまとめられていて。特に最終場、寝台の上にしつらえられた大きな円形の椿の絵の描かれた……なんだあれは。装飾品か。途中で赤く電気がついたりするのは無くてもいいと思ったけど、電気が付かない時は渋めのジャポネスクな調度品という感じで。ドアだけは妙に岡本太郎調だったけど、まあそれもよし( ̄ー ̄)ニヤリ。。

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