フォト

最近のトラックバック

Amazon Search

無料ブログはココログ

« 【バレエ】「コッペリア」キャスト表 | トップページ | 【バレエ】「白鳥の湖」キャスト表(2012.6) »

【バレエ】「じゃじゃ馬馴らし」(2012.6.2S)

2012.6.2ソワレ 「じゃじゃ馬馴らし」 シュツットガルト・バレエ団 東京文化会館


振付:ジョン・クランコ
音楽:クルト=ハインツ・シュトルツェ(ドメニコ・スカルラッティ作曲による)
装置・衣裳:エリザベス・ダルトン
世界初演:1969年3月16日、シュツットガルト・バレエ団

バプティスタ(裕福な紳士):ローランド・ダレシオ
キャタリーナ(バプティスタの長女):マリア・アイシュヴァルト
ビアンカ(バプティスタの次女):エリザベス・メイソン
グレミオ(ビアンカの求婚者):アルマン・ザジアン ルーセンショー(ビアンカの求婚者):マライン・ラドメーカー ホーテンショー(ビアンカの求婚者):ローランド・ハヴリカ
ペトルーチオ(紳士):ジェイソン・レイリー
ふたりの娼婦:オイハネ・ヘレーロ、レネ・ライト 司祭/宿屋の亭主:マッテオ・クロッカード=ヴィラ
召使いたち:オズカン・アイク、エドアルド・ボリアーニ、ダニエル・カマーゴ、ルドヴィコ・パーチェ
パ・ド・シス(第2幕):ダニエラ・ランゼッティ、アンジェリーナ・ズッカリーニ、ラケーレ・ブリアッシィ、デヴィッド・ムーア、ニコライ・ゴドノフ、ダミアーノ・パッテネッラ

指揮:ジェームズ・タグル 演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

 初見です。1幕のPDDはバレエフェスのガラで見た記憶があるのですが。その時の印象と、筋立てと、あれこれ拾い読みしたところでは自分にとっては危険領域かなあ、と思って1回しか取らなかったのですが、やはり危険領域でした(笑)。パフォーマンスについてはまったく不満はなく、メインキャストもそりゃ素晴らしかったですが、やっぱりなあ、という。まあシェイクスピア相手に文句言ってもしょうがないんですが( ̄▽ ̄)。座席はやや上手より、真ん中通路よりちょっと前で、全幕をみるにはちょうどいいあたり。


1幕1場 バプティスタ家の外 
 バルコニーのビアンカに求婚する3人の男達。それを追い散らすキャタリーナ。その騒動に眠りを邪魔されて怒る寝間着姿の人々と、さらにそれに食ってかかるキャタリーナ。

 アイシュバルトはダントツで好きな女性ダンサーのひとりだけど、キャタリーナに関してはなんの共感もしないな(笑)。まあそういう役だから仕方ない。「じゃじゃ馬」というよりも「男嫌い」の方が、キャタリーナの振る舞いに対する説得力はあるなー、と思ったりしたけど、シェイクスピアに文句つけても始まらないわけで。
 ラドメイカーは王子さまだなあ。キャタリーナに水をぶっ掛けられた時の、リュートを振って「水、入っちゃったよ……」てのが妙にツボった。といいつつ、ハヴリカ(赤い方)のインパクトが強くて、ついついそっちに眼が行っちゃったりして。全編通して、群舞がイイ。スピードがあって楽しい。

2場 居酒屋
 キャタリーナに追い出された3人の求婚者がぐったりとしている。酔っぱらったペトルーチオが二人の娼婦を連れて登場。酔っぱらってる隙に身ぐるみはがれる。それを見た3人は共謀してペトルーチオにキャタリーナの持参金の話をし、求婚するように勧める。

 ペトルーチオの酔っ払いのソロ。というか、1幕の半分くらい酔っぱらってる気もするけど、レイリーは似合うなあ(笑)。娼婦のソロをみてる間に、気づいたら身ぐるみはがされてたよ( ̄▽ ̄)。

3場 バプティスタ家の中
 求婚者たちにもらった扇子・手袋・バラを手に踊るビアンカ。それらを奪い取ってビアンカを侮辱するキャタリーナ。声楽(グレミオ)・リュート(ホーテンショー)・ダンス(ルーセンショー)の教師に化けた求婚者たちとペトルーチオがやってきて、ペトルーチオはキャタリーナに求婚する。求婚者たちはビアンカにそれぞれの科目を教授しながら踊り、ビアンカはルーセンショーを気に入る。キャタリーナとペトルーチオのPDD。最終的にキャタリーナはペトルーチオを憎からず思い、求婚を受け入れる。

 ビアンカももらった3つの贈り物をそれぞれ使ってみながらも放りだしてみたりして、「求婚された」事実には酔ってるけど、それ以上でもないような。3人との踊りはそれを見極めるものだけど、まあなんというか、ガマーシュ二人と王子さま、だよねえ( ̄▽ ̄)。グレミオの声は木管(つかスライドホイッスルだそうな)の調子っぱずれな音で表されて、それはタイミングといい音色といい絶妙なんだけど、途中で飽きてしまった。「こっけいな老人」あるいは「老醜」の役なので、技術的には難しいんだと思うけど、笑えるというほどでもないなあ。4人が踊るところなんかは、からまりあっちゃってるのにちゃんと踊っててスゴイ。
 キャタリーナとペトルーチオのPDDは、以前ガラで見たもの。最初はケンカごしのキャタリーナが徐々にペトルーチオに魅かれていく……という、こちらもやたらと高度なサポート/リフト満載です。
 ビアンカとルーセンショー、キャタリーナとペトルーチオ、ふたつのPDDを並べてみると、ダンスというのは人の心をほぐしていくのだなあ、と思います。自分を気持ち良く踊らせてくれる相手を好もしく思うようになるのは当然だなーと思うとともに、そういう説得力のあるPDDでしたよ。だけどペトルーチオの方はどうだろう? 彼にとってのキャタリーナは金のもとなのか、屈服させるべき鼻っ柱の強い女なのか、それともほかものなのかはわからず仕舞という気が。

4場 路上
 キャタリーナとペトルーチオの結婚の噂でもちきりの群衆たち。

 やっぱ群舞イイっす( ̄▽ ̄)。最後まで跳んじゃうお約束の人とか。お約束ギャグが楽しいところと楽しくないところがあるのはなんだろな。気の持ちよう?

5場 バプティスタ家。
 結婚式のお祝いの群舞。相変わらず無愛想でけんか腰のキャタリーナ。遅刻してきたうえに態度の悪いペトルーチオ。混乱する式場。ふてくされるキャタリーナをペトルーチオがさらうように連れ出して幕。

 いやもう、レイリーのソロがカッチョイイヽ(´▽`)/! ただこの頃になってくると、キャタリーナの振る舞いとか、あまり面白くはなくなってくるんだな。「バレエ」としては型破りな主人公だけど、「バレエ」じゃなければ普通の振る舞いだから、なんだろうか。それとももう「お約束」に食傷してきたのか。むしろ、レイリーがガンガン踊っている間に階段に座ってふてくされてるのがカワイイよ。本当だったら花嫁ってもっといいもののはずなのに! って。あと一見マッドサイエンティストみたいな司祭がイイ( ̄▽ ̄)! 
 群舞含めて、特に後半はあちこち同時進行なので、眼がいくつあっても足りないくらい。最後の将棋倒しはなかなか見事で、1幕のアンコールは倒れたままの一同なのが笑ったけど、そこをまたペトルーチオがキャタリーナ担いで走って横切っていったらもっと楽しいのにー、と思ったり。

2幕1場 ペトルーチオの家
 馬に乗って行きつつキャタリーナがダダをこねる幕前芝居。ペトルーチオの家の召使いのカトル。ペトルーチオが召使いにキャタリーナを脅させ、キャタリーナが暖炉の前で(雨に濡れた?)身体を暖めようとすれば火を消し、夕飯を食べようとすればそれを取り上げる。キャタリーナはしかたなく、暖炉の脇で毛布(?)にくるまって眠る。

 幕前芝居は馬の上になったり下になったりで、なかなかハード。でもこの場面がいちばんイヤだったなあ。最初にペトルーチオが家に入って、召使いたちに「オマエは阿呆のふり」「オマエはカタワの振り」(←としかいいようがない)って「それで入ってくる女を脅せ!」ってさあ……。そりゃシェイクスピアの時代ならそうだろうけど、60年代に入れるかな、それ……。キャタリーナもなんていうか。「飢えと寒さ」の前には、人はどんだけでも卑屈になるよね、っていう。この場面がなければまだなんとかなるような話かもしれないけどなあ。
 プログラムに「料理に難癖をつけ」ってあったので、てっきりキャタリーナが作った夕飯をひっくり返すって話かと思ってたら、そこはさすがに召使いの仕事なのであったよ( ̄▽ ̄)。「あたしってエラそうにしてたけど、本当はなんにもできないんだわ……」というブルジョワのお嬢さまの反省物語ではなかったのであった。

2場 カーニバル
 ここも幕前芝居があったような。ビアンカはルーセンショーに、ほかの二人からもらった扇と手袋を渡し、作戦を指示。ルーセンショーは二人の娼婦にそれぞれ扇と手袋とお金を渡して、ホーテンショーとグレミオに自分がビアンカであるとだまして結婚するように仕向ける。ホーテンショーとグレミオは自分の贈ったプレゼントを持って、ビアンカと同じ仮面をつけている娼婦たちをビアンカと勘違いし、娼婦たちは司祭を雇ってそれぞれと結婚の約束をさせてしまう。ルーセンショーとビアンカが現れてだまされたことがわかるが後の祭り。

 この場面の見どころはなんといっても、ビアンカとルーセンショーのPDDだろうなあ。絵に書いたような美男美女のシアワセたっぷりなPDD。いやあ、眼福、眼福。思わぬところでラドメイカーをたっぷりみられて嬉しかったよ(ノ_-。)。
 それにしてもビアンカの腹黒さ( ̄▽ ̄)。別に手の込んだことをしなくても、普通にルーセンショーを選んでも問題ないんじゃ? と思うけどねえ。その企みを喜んで引き受けちゃうルーセンショーもうっかりさんだよなあ。司祭は相変わらずアヤシイし。群舞をあんまり見てるヒマがなかったのがちょっと残念。

3場 ペトルーチオの家
 朝。キャタリーナとペトルーチオのPDD。次第に打ち解けていく二人。キャタリーナが「素直に」なったところで、ペトルーチオの合図で豪華な食事が運ばれ、幸せに朝ご飯。

 むーん。この場面を食事でしめちゃうと、本当に動物の「調教」になっちゃうんだよなあ。1幕のPDDですでにそうだったように、「ダンスの魔法」で十分なんだと思うんだよね。それだけでも素直に身を任せる喜びを知る物語にはなるんだけどな。「二人で踊る」ということにはそれだけの魔法があるんだし、それが「バレエ」ならではなんだと思うし。PDDの最後が幸せなだけに。

4場 路上
 1場の幕前と対。二人を乗せた馬が逆に帰っていく。途中に手押し井戸とかかしがあって、キャタリーナが井戸の水を汲もうとすると、ペトルーチオが井戸ではなくかかしから汲ませて御者と二人で笑う。

 ここもなー。笑いは起きてたし、「世間知らずなお嬢さまを笑いものにする」っていうのは、労働者階級がやれば「笑い」だけどねえ。行きはいがみ合い、帰りはシアワセっていうだけじゃだめなのかなあ。

5場 ビアンカの結婚式
 3組の結婚式が執り行なわれる。だがその途端に3人の妻は夫のいうことをきかなくなる。そこへ豪華なマントと帽子をつけたキャタリーナとペトルーチオが現れ、キャタリーナはペトルーチオのいうままにし、ほかの3人にもそれを強要する。一同びっくらぎょうてん。宴が終って、キャタリーナとペトルーチオの幸せなPDDで幕。

 だまされたとわかっていても、ちゃんと誓いを守って娼婦と結婚するグレミオとホーテンショーが律義というか哀れというか( ̄▽ ̄)。司祭、曲者だな。そしてルーセンショーはやっぱりうっかりさんだ(笑)。
 ここの場面のキャタリーナはいいんだよね。自分がペトルーチオの前にひざまずいて、ほかの3人に「ほらっ、アンタたちもっ!!ヽ(#゚Д゚)ノ」なんてのは「あー、性格変わってないじゃん( ̄▽ ̄)」ってホッとする。周りの驚きようがあんまりなんで、道々ペトルーチオと二人で「みんなを仰天させてやろうぜ!」なんて共謀してた? なんて思える余裕がある。最後のPDDは美しくて幸せ(^▽^)。

 で、結局何がいちばんしっくりこなかったか、とつらつら考えるに、ペトルーチオがキャタリーナをどう愛したかがわからなかったってことなんだろうな。例えば初対面の場面で一目ぼれしたというようなわかりやすさというか。「自分好みの女になったら愛してやるぜ!」で始まって、結局「自分好みになったら愛おしくなりました」という話であったような。1幕のPDDでキャタリーナはもうペトルーチオの手に落ちてるのに、ペトルーチオの方は延々といらんことをしているという気もしないでもない( ̄▽ ̄)。

 でもまあ、元々がそういうプロットなんだからしょうがない。「実はしたがってるようにみせかけて、妻が財布を握ってる」式の論のむなしさはみんな味わっちゃってるけど、作られた60年代はまだ有効だったんだなあ。こういうコメディは、どこかで自分のスジをはずしちゃうと面白く感じなくなっちゃうんだよね、ってことで。

« 【バレエ】「コッペリア」キャスト表 | トップページ | 【バレエ】「白鳥の湖」キャスト表(2012.6) »