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【コラム】ていこうせん31号&34号

「'97ガイドライン安保・有事法に反対する全国Fax通信」から

31号 プライベート・ライアン

34号 キティホーク・グッズ

◆「プライベート・ライアン」なる映画を観た。言いたいことはオマハ・ビーチの真砂ほどあるのだが、年老いたライアンが墓地を訪れるファーストシーンから「ヤな気持ち」は始まった。真っ白な十字架が見渡す限りに並んでいる戦死者の墓地である。そこで「これだけたくさんの人が犠牲になったのか!」とまあ多くの人の涙をそそる(らしい)のだが、没個性的な墓標は星条旗の元、死後もなお忠誠を誓って整列させられている兵士たちの姿に他ならないように見えたからである。川本三郎が公式パンフに書いた気持ち悪い文章では、この映画は兵士が個々の名前を取り戻す物語らしいが、ならばラストで名前を刻まれた十字架が再び星条旗の元に整列するさまは「兵士の再生産」でしかない。(31号 99.1.16)

【補】その後、スピルバーグはこの映画で公共奉仕賞とかいう賞をもらった(99.12.14号参照)。名前=人間性を取り戻す話としてそれなりに評価する文章もあったけれど、これは(監督の主観はともかくとして)、アメリカにも靖国サイクルがきちんとあって、機能してるのよー、という話なのだ、実際。ライアンは生きて帰ったから名前を取り戻せたのかもしれないけど、彼のために死んだ兵士はみんな、名前を剥奪されてその列にいるのだから。


 

◆キティホークなる空母を見に行った。アメリカン・スクールの学祭のようだった。日溜まりでしゃがんでぼーっとしていたら、いたるところで売っていたオリジナルTシャツを、若いグループが行商でもするんじゃないかというくらい積み上げて見せっこしていた。戦闘機のシルエットと、最古参空母に与えられるヘビをあしらった紋章のTシャツを「かわいーよねー」と満足そうだ。◆例えば原子雲グッズはアメリカにいろいろあるらしいが、けれど原子雲を見ればその下の黒こげの死体だの沸騰したアスファルトに染み込んだ体脂肪だのを思い出し、「つけて楽しい」という気分にはあまりならない。戦闘機や戦闘隊のエンブレムにはそうしたものを即座に思い出させるようなリアリティが乏しい、ということなのだろう。それは「雲の下の光景は想像ができなかった」という空軍パイロットの言葉と合致している。(34号 99.3.5)

【補】確かこれは朝鮮戦争に従軍していたパイロットで、後に反戦運動に関わるようになった人の言葉だったと思います。彼はある日、「雲の下の光景」に気がついちゃったんですね。気がついたら、もう任務ができなくなってしまった。そういう人は陸海空軍を問わずいて、積極的/消極的はともあれ、反戦運動に関わっているようです。ちなみにこの日は、ピザとビールを買って帰る人というのが多かったです。

 

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