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邦画

【映画】飯舘村ー放射能と帰村

飯舘村ー放射能と帰村 

土井敏邦監督・撮影・編集・製作 2013年


 飯舘村で酪農を営んでいた、志賀一家と長谷川一家。二家族を中心に、原発事故が「家族」に及ぼした影響と現在の生活を、そして飯舘村の除染と帰村の可能性について、さらに多くの人々のインタビューを基に問い直す。 

 帰村するのか、また大家族で暮らすのか。その前提である「除染」はそもそも可能なのか。映画の後半、飯舘村の除染計画とその実施状況が明らかになっていくが、そこで示されるのは、除染の困難さである。例えば長谷川氏の家。敷地内に五軒の建物があるが、そのうち母屋や納屋など三軒が、土壁であることなどが理由となって「除染作業は困難」となっている。そして山の除染はやらない、と。モデル地区となった菅野氏の家は象徴的だ。除染した家の前庭はやや低めの線量だが、雨樋の下では、ぽん、と上がる。これでは村の空間線量の「平均値」が基準値以下となっても帰れるわけがない。

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【映画】家路

家路
久保田直監督/2013年

 福島第一原発事故によって警戒区域となった村に、かつて村を追われるように出て行った次郎(松山ケンイチ)が、人知れず帰ってきて暮らし始めていた。その家に住んでいた兄の総一(内野聖陽)とその妻(安藤サクラ)と娘、母(田中裕子)は逆に事故によって村を追われ、仮設住宅で暮らしている。仕事もなく、デリヘルで働く妻をつけ回す鬱屈した毎日をすごす総一。母には認知症の兆候が現れ始める。そんな中、自殺した同級生の車を引き取りに警察に行った総一は、次郎が警戒区域の家に住んでいることを知らされる……。

 次郎がなぜ村を出たのか、次郎と総一と母との関係、そしてなぜ「今」次郎が帰ってきたのか。それは次第に明らかになっていくが、かつては理不尽と思える形で別れた兄と弟(と母)が、今度はわだかまりを残さずに、それぞれの道に別れてゆく。これは「家族の再生」というよりもむしろ、次郎が、強権的な父と、その父を継ごうとした兄から母と自分を解放する、そして次郎が母を引き取ることで兄一家も「父」から解放される、そういう物語であろう。家族がひとつになることが「再生」なのではなく、別れることで家父長制から解放される、それは確かに「再生」ではあるのかもしれない。

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【映画】EDEN

EDEN

武正晴監督・2012年

 亡き原田芳雄が企画を温め続けていたという、船戸与一「夏の渦」の映画化が、山本太郎という役者を得て実現した。

 新宿二丁目のショーパブ「EDEN」の店長兼ショー演出家の「ミロ」(山本太郎)の四十二歳の誕生日。飲み過ぎた店の仲間「ノリピー」(入口夕布)を家に連れて帰ったミロが目覚めると、心臓の悪かったノリピーは急性心不全で死んでいた。屈辱的な警察での取り調べから帰ると、今度は店のオーナー(高岡早紀)がストーカーに襲われたとの知らせ。店のメンバーとストーカーの勤務先の進学塾に乗り込んだミロは、偶然、店の常連客アカネ(中村ゆり)と出会う。沖縄出身のアカネもまた、人には言えない傷を抱えていたが、ミロの励ましに力を得て、同郷の金城(仲井真徹)に心を開こうとする。その夜、店での誕生バーティーに今度は警察がやってきて、「親族が遺体の引き取りを拒んだ」と、棺ごとノリピーを置いて行く。「ノリピーを家族の元に帰そう」。ミロたちはトラックに棺を積み、千葉へと向かう……。

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【映画】夢のまにまに

夢のまにまに

木村威夫/原作・監督/2008年/日本/1時間46分

 木室(長門裕之)は、妻・エミ子(有馬稲子)の世話をしながら、映画制作の学校・NK学院で若者たちを教えている。足が不自由になったエミ子は、広告チラシでコラージュを創り、最後まで思い出せないピアノ曲を弾き続けている。老いた木室は何かにつけて、自分の過去を思い出すようになる。空襲の最中のエミ子との出会い、焼け跡の飲み屋とそのママ(宮沢りえ)、飲み屋の常連の文士たち。ある日、駅前の広場にある、幹にたくさんの瘤のある銀杏の大樹のそばで、木室はママによく似た銅版画家・中埜(宮沢りえ・二役)と出会う。一方、木室の生徒の一人、腕にマリリン・モンローの刺青をした村上(井上芳雄)は、統合失調症のため学院を中退して故郷の熊本で入院する。木室と村上との手紙のやりとりが始まる——。

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【映画】桃太郎 海の神兵


監督・脚本・演出/瀬尾光世 1945年作品 松竹 白黒 74分

叙情が戦意を昂揚する

 いいかげん、たまったビデオを整理しようとラベルのないテープを再生したら、いきなり荻昌弘が出た。びっくりした。土曜ロードショーの枠で「桃太郎 海の神兵」を放送したときのものだった。瀬尾光世と手塚治虫の座談会がついていた。すごいな。CMから推測すると八七年の放映。ううむ。ちなみに私は戦後五十年企画として映画館で観ている。

 さて、本編の方は、海軍省に委託され、後援を受けて制作されたアニメーション。冒頭に「メナド降下作戦に参加せる海軍落下傘部隊将士の談話による」とある。敗戦時に焼却されたと言われていたが、後にネガが発見され、八四年に再公開された。

 字幕が消えるといきなり富士山。のどかな山間の農村に、雉、犬、猿、熊の水兵たちが帰郷していく。あくまでも美しい田園風景。四人(匹?)はまず村の神社にそろって拝礼をすませ、それぞれの家に帰っていく。熊の家では年老いた両親が端午の節句の用意をし、犬の両親は畑仕事に精を出している。


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【映画】GAMA−−月桃の花

GAMA——月桃の花   
監督/大澤豊 1996年作品

 アオリ文句のひとつは「沖縄の”平和の礎”を映画化」だった。確かに「平和の礎」が大田=平和=県政の象徴だとするならば、その通りの映画であった。

 沖縄に一人の青年が降り立つ。沖縄生まれの母と米兵の父を持つジョージ(川口慈英)が、祖母・宮里房(玉木初枝)から自分のルーツを聞くためにアメリカからやってきたのだ。彼は偶然出会った糸数文子と二人、祖母を訪ねる。文子は「平和の礎」の刻銘のために聞き取り調査をしているのだが、房は自分の体験を語ろうとしなかった。

 物語は入れ子になっている。「平和の礎」をめぐる現在(一九九五年)の中に、房の語る沖縄戦の物語——パンフレットによると、以前より演劇としてあった「洞窟(ガマ)」——がすっぽりとはめこまれている。この二つの部分の違和感は、房役の玉木初枝(現在)から朝霧舞(過去)、もう一度玉木へ、という転換の際の演出的・技術的なものだけではない。現在を創る力のあやうさ、あやふやさである。

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【映画】ホタル

ホタル
監督/降旗康男 2001年作品

「感動した!ありがとおおっ!」が聞こえてくるよな、やっぱ

 桜島の見える海でカンパチの養殖を営む元特攻隊員の山岡(高倉健)と腎臓透析を続ける妻の知子(田中裕子)。「昭和天皇」が死んだ日、山岡の部下で今は八甲田に住む藤枝(井川比佐志)が突然、知覧の特攻平和会館から山岡の家に電話をかけてくるが、行き違いになる。そして「大喪の礼」の日、藤枝は八甲田山で自殺する。「特攻の母」と言われた富子(奈良岡朋子)は老人ホームへ入りたい、と言い出し、山岡に、山岡と藤枝の上官であった金山少尉(小澤征悦)の遺品を遺族に届けて欲しい、と頼む。金山少尉は本名キム・ソンジュという朝鮮人の特攻兵であり、知子の許嫁でもあった。しぶる山岡だが、知子の命があと一年余りと聞いて、二人で韓国へ行くことを決意する……。

 とまあ、こんな「現在」(と言ってももはや十年前だなぁ)を軸に、藤枝の孫、真美(水橋貴己)にオトナたちがそれぞれに語る回想が織り交ぜられながら、物語が進む。

 いやもう、泣き所満載! 半分も行かないうちからそこいらで鼻すすりまくってる音が聞こえてくる。藤枝が特攻平和会館で見る(という設定の)ショパンの「別れの曲」をバックにした特攻機の出撃−特攻−どんどこ撃ち落とされていく実写フィルムあたりから始まって、富子の語る「ホタルとなって帰ってきた特攻兵」だとか、「金山少尉の所へ連れてって!」と特攻機に突っ込む知子だとか、金山少尉が最後の晩に歌うアリランだとか、「不器用ですから」な健さんとか、好きなだけ泣いてくれえ! てなもんだ。

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【映画】男たちの大和/YAMATO  

男たちの大和/YAMATO  
監督/佐藤純彌 2005年作品 東映/角川春樹事務所

かくて消費されるツッコミなき「泣ける映画」

 二〇〇五年、四月。枕崎市の漁協に「大和の沈没地点まで船を出してくれ」という女性、内田(鈴木京香)が現れる。元大和乗組員で、現在は漁師の神尾(仲代達矢)は、彼女がかつて自分をかわいがってくれた上官・内田二曹(中村獅童)の娘と知り、一五歳のアルバイト漁師・アツシと共に船を出す。特別少年兵として一五歳で志願、後に大和乗組員となった神尾の語る、大和の物語が始まる……。

 この二年ほど、舞踊関係の文章をぽそぽそと書き、読みながら痛感したことがある。それは舞台であれ映画であれ、見るということは作り手・受け手の共同作業であって、受け手が自分の中に存在しない「物語」を見いだすのは、なかなかに困難だということだ。「新しい物語」を受け入れられないというのではない。ぼつん、ぼつんと置かれたちょっとしたとっかかりから、未知の物語を展開していくのは、受け手にその気がなければ難しい。あらかじめ持っている自らの参照項の中から選んでわかりやすい物語として読み解くのもまた、受け手の作業なのだ。

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【映画】プライド——運命の瞬間(とき)

プライド——運命の瞬間(とき)
監督/伊藤俊哉 1998年作品 

「大東亜戦争正当化」失敗作の悲喜劇

 裁判冒頭、法廷から引きづり出される大川周明が抵抗しながら叫ぶ。「It's a comedy!」

 まったく、出来の悪いコメディを見せられているようだった。散漫な構成、活かされない役柄、不十分な説明、そして津川雅彦のオーバーアクト。「東条がのり移った」といわれた津川の演技だったが、例えば法廷で松岡洋右の死を知らされる場面、あるいは「ただ一人特攻隊となって闘う」という有名な場面での過剰さは、悪い冗談みたいなものだ。パル判事の私生活部分も、せっかくインドロケまでして、かえって話を散漫にさせている。若い恋人たちも、背負わせたい役割は理解できるが、そのように活かされてはいない。観客が「これはこういうふうなことを描きたかったんだろうなあ」などと思いながら観るようではまずかろう。また、どこの国が参加していたのか、死刑囚以外の判決はどうだったのかという基本的な事柄、「天皇免責」をめぐる連合国相互の確執もほんのアリバイ程度で、東京裁判の本質・全体像を描くという点でも未消化に終わっている。


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【映画】THE 有頂天ホテル

THE有頂天ホテル

監督/三谷幸喜 2006年作品/東宝

 大晦日のホテル・アヴァンティ。宿泊部長・副支配人の新堂(役所広司)とアシスタント・マネージャーの矢部(戸田恵子)、飲料部長・副支配人瀬尾(生瀬勝久)は、年越しイベントやマン・オブ・ザ・イヤーの授賞式やら、宿泊客やらのトラブルやらでてんてこ舞い。ベルボーイをしながらストリート・ミュージシャンを続けてきた只野(香取慎吾)は、今日で退職して田舎に帰る予定が、相次ぐトラブルで「もう一日だけ」と懇願されて再び制服を着る。ウェイターの丹下(川平慈英)と恋人の客室係・野間(堀内敬子)はケンカの真っ最中。シングルマザーの客室係ハナ(松たか子)は、すさまじく散らかった部屋を片づけるうちに、その部屋の宿泊客である会社社長の愛人と間違えられて大芝居。ハナの昔の恋人、汚職国会議員の武藤田(佐藤浩市)は、マスコミから逃れて逗留中。今年のマン・オブ・ザ・イヤーの受章者の妻(原田美枝子)は新堂の別れた妻。ショーに出るはずのアヒルは逃げだし、総支配人(伊東四朗)は迷子になり、コールガールのヨーコ(篠原涼子)はうろうろする。新堂は無事に年を越せるのか?


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